むし歯治療について
むし歯とは
むし歯は、口腔内細菌(ミュータンス菌など)が口の中の糖分(食べ物の残留物)を利用して酸を生成することで起こります。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かして、むし歯ができます。初期段階では、歯の表面に白い斑点やしみが現れます。進行すると、穴ができ、神経に達すると痛みを引き起こすこともあります。
むし歯の原因について
むし歯になってしまうのには「歯の質」「糖分」「細菌」「時間」という4つの条件があり、この条件が重なった時にむし歯になると考えられています。
お口の中の「ミュータンス菌」と呼ばれる細菌が主なむし歯の原因菌です。歯ブラシの磨き残しによってできた歯垢(プラーク)の中のむし歯菌が、それらの中の糖質を栄養にして酸を作り出します。
この酸が歯の表面のエナメル質に浸透し、硬い歯が溶かされ柔らかくなった部分がむし歯です。放置する時間が長ければ、むし歯菌が歯の内部にどんどん入り込み、むし歯が進行していきます。
治療の痛みへの配慮
治療時の痛みをできるだけ減らすために、治療のほとんどに麻酔をさせていただきます。しかし、麻酔をするときにもどうしても注射自体のチクっとした痛みを伴います。
自由が丘メープル歯科・矯正歯科では患者様に不快感なく治療を受けていただくために麻酔時の痛みを最小限にする以下の取り組みを行っております。
表面麻酔
麻酔注射の前に、麻酔をする粘膜にペースト状の塗る麻酔を使って表面を痺れさせます。表面麻酔に痛みは全くありませんのでご安心ください。表面麻酔を塗った後、少し時間を置き粘膜を鈍感にさせて、通常の麻酔を行います。そうすることで麻酔の針が粘膜に刺さった時の「チクッ」とした痛みを軽減させます。
電動麻酔注射器
麻酔薬をゆっくり入れることで圧力がかからず、麻酔時の痛みを軽減できます。当院では一定の速さで麻酔薬の注入が可能な電動麻酔注射器を導入しております。途中で痛みの確認もさせていただきますので、辛いときは遠慮なくお申し付けください。
極細の麻酔針
麻酔に使用する針は細ければ細いほど、粘膜に刺さった時の痛みが軽減できます。自由が丘メープル歯科・矯正歯科では歯科の中で最も細い35Gの超極細針を採用しています。
また、針を刺す角度も麻酔注射を行う上で重要なポイントです。歯の部位に合わせて刺激が少ない角度で針を粘膜内に入れたら、ゆっくり安定した圧力で麻酔していきます。
緊張を和らげる医院づくり
最も大事なことは、緊張を和らげリラックスできる医院の雰囲気作りです。患者様が不安や思っていることを言えない雰囲気を感じてしまうと、麻酔時の痛みや治療の恐怖も感じやすくなります。
当院では治療技術だけでなく、スタッフ対応も含め患者様がリラックスした状態で治療を受けていただける医院づくりを心掛けています。治療中に不安なことがあれば、お気軽に担当医・スタッフにご相談ください。
むし歯の進行段階とその治療方法
むし歯の段階(CO~C4)により
治療法が異なります。
CO:きわめて初期段階のむし歯
歯の表面に白い斑点や奥歯の溝に黒い着色が見られる状態です。この段階では、むし歯がまだ歯の組織の深くまで侵食されていないため、ケアをしっかり行って歯を健康な状態に戻すことが可能です。
適切な歯磨きや予防処置(フッ素の使用など)により、状態を改善し進行を防ぎます。
治療の流れ
1歯のクリーニング
歯科衛生士が専用の器具を使用して、歯の表面からプラークや歯石を除去します。これにより、むし歯の原因となる細菌の除去や歯の清掃が行われます。
2歯科衛生指導
正しい歯磨きや口腔衛生の方法を指導し、患者様が適切なケアを行えるようにサポートします。
3フッ素処置
歯の表面にフッ素を塗布することでエナメル質を強化するだけでなく歯の石灰化を促進してむし歯の進行を防ぎます。
※例外として、患者様が審美的に気になるようであれば、しっかりとご相談した上でそこの箇所のみを削って詰め物を行うことがあります。
C1:COよりも進んだ初期段階のむし歯
歯の表面を覆うエナメル質内に限局されるむし歯で、歯の表面が白濁していたり褐色から黒色に見えることもあります。表層部分だけのむし歯なので、特に痛みなどの症状がなく気づかないことがほとんどです。
むし歯の初期段階なのでCOと同様に積極的に削ることはせず、まずは予防的なアプローチを行います。
治療の流れ
1歯のクリーニング
2歯科衛生指導
3フッ素処置
※むし歯の範囲が広かったり、患者様が審美的に気になるようであれば、しっかりとご相談した上で治療を行います。
C2:象牙質に達したむし歯
むし歯がエナメル質内部の象牙質にまで進行している状態です。冷たいものでしみるといった症状が出始めます。症状としては、冷たいものでしみる、甘いものでしみる、噛んだときに痛かったりします。
むし歯を削り、詰め物をして歯の形態と機能を回復します。むし歯の大きさによって治療法や詰め物の材料が変わります。
治療の流れ(むし歯の範囲が小さい場合)
麻酔をしてむし歯を削ります。健康な歯は削らないように、むし歯部分を染める特殊な薬剤を用いてむし歯のみを確実に取り除きます。
CR(コンポジットレジン)を詰めて、お口の中で違和感がないように調整・研磨をします。
治療の流れ(むし歯の範囲が大きい場合)
1治療1回目
麻酔をしてむし歯を削ります。健康な歯は削らないように、むし歯部分を染める特殊な薬剤を用いてむし歯のみを確実に取り除きます。
削ったところに神経を保護する材料を詰めて、その日は終了となります。むし歯が象牙質の深くまで進行していると、麻酔が切れた後にズキズキ痛む場合がございます。数日たっても痛みが引かない場合、治療法が変わることもあります。
2治療2回目
前回、むし歯を削った歯に痛み等の症状がなければ、麻酔をして詰め物の形に合わせて歯の形を整えます。
型取りを行い、歯には仮の蓋をしてその日は終了となります。
3治療3回目
仮の蓋を外し、中を洗います。(しみる場合は麻酔を行います。)
でき上がった詰め物を調整し、歯に装着します。
C3:歯髄(神経)に達したむし歯
むし歯が深くまで進行し、歯の内部の神経にまで達している状態です。冷たいものや温かいもので痛かったり、何もしなくてもズキズキ痛んだり、夜眠れないほど痛むことがあります。
むし歯を完全に取りきった後、歯の神経を取る治療(根管治療)を行います。根管治療が終わると、歯の根に土台を立てて被せ物(クラウン)をします。
治療の流れ
1治療1回目
麻酔をしてむし歯を削ります。健康な歯は削らないように、むし歯部分を染める特殊な薬剤を用いてむし歯のみを確実に取り除きます。
感染した神経を特殊な器具を使って除去し、神経が入っていた管(根管)の洗浄・消毒を行います。
根管内を消毒するための薬剤を入れ、仮歯・仮の蓋の状態でお帰りいただきます。
※一度では根管内が綺麗にならない場合が多く、根管内の消毒に数回の通院を要することが多いです。
2治療2回目
消毒が終わり、根管内が綺麗になった後、再感染を起こさせないように充填剤(樹脂など)を入れて密閉します。
仮歯・仮の蓋の状態にして、その日は終了となります。
3治療3回目
前回の処置後痛み等の症状がないことを確認して、歯の支えとなる土台を立てます。
土台を立てた後、被せ物の種類に合わせて歯の形を整えます。
型取りを行い、仮歯・仮の蓋をしてその日は終了となります。
4治療4回目
でき上がった被せ物を調整し、歯に装着します。
C4:歯質が失われたむし歯
むし歯によって歯の大部分が溶けた状態です。むし歯の末期で、歯の神経も腐っているため、痛みも感じません。根の先に膿が溜まっていることもあり、鈍い痛みや食べ物がつまった時に痛みが出ることもあります。
ここまでむし歯が進行してしまうと、残念ながらほとんどは抜歯となります。特殊な治療を行ったりすることで歯を保存できるケースがございます。
治療の流れ(歯の保存が不可能な場合)
抜歯となります。
治療の流れ(歯の保存が可能な場合)
1C3と同様に根管治療を行う(根管治療の1〜2段階目)
2クラウンレングスニングを行う
3歯周組織の治りを待って、土台を立て被せ物をする(根管治療の3〜4段階目)
むし歯の予防法について
健康な歯を守るために
日本では、歯医者には歯が痛くなった時、詰め物が取れてしまった時など何かトラブルが起きないと行かない方が多くいらっしゃいます。しかし、この習慣を続けているとご自身の歯の寿命がどんどん短くなってしまいます。一度むし歯処置をした歯は再発を繰り返すリスクが高いことや、歯周病は痛みなく進行して、気づいたときには抜歯せざるを得ない状態になってしまっていることがあるからです。
むし歯の再発や抜歯のリスクを回避するには、むし歯や歯周病にならないための予防と定期的なメンテナンス、もしむし歯などになったとしても早期発見・早期治療を行なうことがとても大切です。